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年金相談

   年金Q&A




2016年12月掲載 (年金者しんぶんより)
 
遺族年金を受給していますが、新聞で65歳になると年金額が大幅に減ることがわかりました。最近、身体の調子が悪くパートを辞めました。どうしたらよいでしょうか。

A

今受給している123万円の遺族厚生年金のうち、58万5100円が中高齢寡婦加算と呼ばれる加算です。この加算が65歳になるとなくなり、かわりに、経過的寡婦加算が7万8035円出ます。65歳時の遺族年金は72万2935円になってしまいます。
 国民年金の保険料納付期間が、78月、全額免除期間が54月、計132月ありますので、10年の受給資格期間は満たしており、来年の8月1日に老齢基礎年金を受け取る資格ができます。受け取る年金額をふやすために、すぐ国民年金の任意加入の手続きをして下さい。老齢基礎年金の受給権が発生する来年の8月の前月まで加入できますので、保険料納付が9カ月ふえます。受け取る老齢基礎年金の額は17万0647円になります。来年の9月分以降受給できる年金額は合わせて年額89万3582円まで回復します。
 まず、年金事務所のお客様相談室に行き、65歳時の遺族年金等の金額の試算と、これまでの年金加入記録の確認をして下さい。10年の老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていると確認したら、その足で国民年金課へ行き国民年金の任意加入の手続きを行って下さい。
 それにしても、65歳になると年金額が大幅に減少するとの通知を全くしない今の年金行政に憤りを感じます。
 2016年12月5日
(年金相談室 小林 善雄)
 
年金事務所からあなたの年金に200万円の払い過ぎがあることが判明した、5年で返納してほしいとの連絡がありました。生活が出来なくなってしまいます。どうしたらよいでしょうか。

A

200万円を5年で返済することは、毎回の年金支給月に6万7千円ずつ減額されて年金が支給されることが5年続くことです。あなたの一支払期の年金額は16万円ですから、6万7千円を差し引くと9万3千円しか残らず、月額にすると4万7千円です。これでは生活ができません。
 社会保険業務センター「事務連絡平成17年4月20日、年金の過払い返還に係る新聞報道等について、別添質疑応答集」は、年金の過払い返還は「原則として、5年以内に返納していただくこととしておりますが、今回のように多額の過払金が発生し、その返済を求める場合等、受給者の方の生活に与える影響が大きいことなどからやむを得ないケースにおいては、受給者の方の生活等、個々の事情を考慮したうえで、返済方法の調整を行っているところです。」としています。
 この考え方は現在の日本年金機構も、「生活状況の事情により5年以内に完納することが困難である場合は、年金事務所までお申し出ください」として踏襲しています。
 あなたも年金事務所に申し出て、協議して下さい。返納期間を10年に延ばせば、一支払期返済額は半分になります。減額されても約13万円は残ることになります。
 2016年11月5日
(年金相談室 小林 善雄)
 
老齢基礎年金などの受給資格期間を25年から10年に短縮することが来年度中に実現しそうだと報道されていますが、具体的にはどう進展しているのですか。また予定通り実施されれば2年ほど遅れての実施ですが、改めて留意点を説明してください。

A

政府・与党は「年金機能強化法の一部を改正する法律案」をこの秋の臨時国会へ提出しました。改正案は受給資格期間短縮の施行期日を「消費税率10%引上げ時」から「2017年8月1日」に改めます。これにより2017年9月分の年金から支給されることになり、初回の支払いは2017年10月となります。新たに年金を受給できる方は約64万人です。(「週刊年金実務」、平成28年9月12日号)
 受給資格期間を短縮する年金は老齢基礎年金、寡婦年金、老齢厚生年金、退職共済年金、旧法の老齢給付です。また、この10年には合算対象期間も含めてよいとされ、保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間を合わせて10年を満たせば、老齢基礎年金、繰上げ支給の老齢基礎年金、老齢厚生年金、繰上げ支給の老齢厚生年金、特別支給の老齢厚生年金は支給されます。
 ただ寡婦年金は「保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年以上」となっており、合算対象期間は含まれません。老齢基礎年金の受給者が死亡した時、受給資格者が死亡した時、遺族基礎年金が支給される25年の要件は従来のままです。(厚生年金も同じ)
 2016年10月5日
(年金相談室 小林 善雄)
 
私は今62歳ですが、夫が亡くなり、遺族年金を受給しています。60歳からそれまで支給されていた私の厚生年金は止まってしまいました。私が65歳になったら、年金の支給の形はどう変わるのでしょうか。

A

あなたは現在、年額92万8341円の遺族厚生年金と年額58万5100円の加算(中高齢寡婦加算)、合わせて151万3441円の遺族年金を受給しています。65歳前は遺族年金と老齢年金とはどちらか選択ですので、あなたの老齢厚生年金年額14万5350円の支給はストップ(支給停止)します。
ご質問のあなたが65歳になった場合は、今度はご自分の老齢厚生年金年額14万5445円と老齢基礎年金年額78万100円とが優先的に支給されます。ところが、遺族厚生年金はご自分の老齢厚生年金の金額だけ減らされ、年額78万2896円となります。
それだけではなく、加算のほうも、3万9030円(昭和29年4月2日〜昭和30年4月1日生まれの方、この加算を経過的寡婦加算と言います。)に減額されます。合計すると、年額174万7471円、月額にして14万5622円となります。
結局、ご自分の老齢厚生年金はあっても、遺族厚生年金からその分だけ減額されてしまい、かつ、老齢基礎年金は全額支給でも、加算が減額されます。(昭和31年4月2日以後生まれの方は0円)65歳になる前に、年金事務所に相談しましょう。(年金額はここではすべて2016年度の金額にしています。)
 2016年9月5日
(年金相談室 小林 善雄)
 
今年7月1日から国民年金保険料の納付猶予制度の対象年齢が30歳未満から50歳未満に拡大したと聞きました。全額免除申請と納付猶予申請とは何が違うのでしょうか。

A

A国民年金保険料を納めるのが経済的に困難な場合、申請が承認されれば保険料を全く納付しなくてもよい点で全額免除も納付猶予も同じです。また、承認される所得の目安も単身の場合57万円、扶養親族がいる場合、{(扶養親族の数+1)×35万円}+22万円と双方とも同じです。両者の違いは、猶予申請の場合、本人、配偶者それぞれの前年の所得が上記基準以下としているのに対し、全額免除申請は本人、配偶者、世帯主それぞれの所得が基準以下としている点です。つまり、納付猶予は本人と妻以外に親が世帯主の場合、親の所得が高くても本人と妻のみの所得で判断される点で認められ易くなっています。
次に、全額免除も納付猶予も、承認された期間は年金を受けるのに必要な25年の受給資格期間に数えられる点で共通ですが、全額免除承認期間は追納しなくても納付した場合の2分の1の年金額が支給されるのに対し、納付猶予は追納しない場合は年金額には全く反映されません。(この点は学生納付特例も同じです。)両制度共に、10年以内であればあとから保険料を納めることができます。この制度を保険料の追納制度といいます。
また、両制度共に、過去2年までさかのぼって申請できるようになりました。保険料を払えない場合、年金事務所に相談しましょう。
 2016年8月5日
(年金相談室 小林 善雄)
 
5月号の「年金者何でも相談」の記事の中にカラ期間(合算対象期間)という言葉が出ていますが、もう少し詳しく説明して下さい。

A

国民年金法は保険料を納めた期間(保険料納付済期間)と免除が認められた期間(保険料免除期間)とを合わせた期間が25年以上ある者が65歳になったとき、老齢基礎年金を支給すると規定しています。しかしながら、保険料納付済期間、保険料免除期間およびカラ期間(合算対象期間)を合わせて25年以上になる者も、25年の納付要件を満たすものとみなす、としています。
厚生年金保険の加入者の被扶養配偶者は今は国民年金の第3号被保険者ですが、1986年3月以前は国民年金の強制加入の被保険者ではなく任意加入でした。つまり、加入しなくてもよいとされたのです。しかし、未加入期間が長いと年金を受けられないおそれが出てくるため任意未加入期間をカラ期間(合算対象期間)としました。
このように、カラ期間(合算対象期間)は保険料を納めた期間ではないので、年金額には結び付かないが、25年の受給資格の計算には加えてよい期間です。学生(夜間制、通信制を除く)は1991年3月までは国民年金の任意加入でした。1961年4月から1991年3月までの学生であって国民年金に加入しなかった期間もまたカラ期間(合算対象期間)となります。他にもありますので、年金事務所で確認してもらいましょう。
 2016年7月5日
(年金相談室 小林 善雄)